更年期の不眠・睡眠障害対策~睡眠時間にこだわらない
睡眠をとらない生き物は存在しない、と言われます。
そもそも「眠ること」の役割は、何でしょうか?実は確定的な結論は、いまだに出ていません。
現在、「免疫機能の維持」「身体の成長・修復」「体温・体重など恒常性に関わるメカニズムの維持」「記憶の整理・定着」などは、すべて睡眠によってもたらされると見られています。
さて、更年期の代表的な悩みのひとつが「慢性的な不眠」です。
とりわけ女性は男性に比べると年代を問わず不眠傾向が強く、女性ホルモン(黄体ホルモン)の減少等の影響で、睡眠の質も悪くなりがちです。
ただし「不眠」と「睡眠不足」は医学的に別の概念であり、区別して考える必要があります。
共働き世帯が増える中で、職場の対人関係等からくるストレスにさらされたり、職場と家庭(育児・介護)の両立に困難を感じる機会が増えるといった「生活環境の変化」も、不眠を招く一因と見られています。
特に更年期を境に、高血圧の症状を訴える女性は少なくありません。急に血圧が上昇しやすくなったり、血圧の数値が乱高下する方もいます。
その一因として、睡眠不足から来る「交感神経の緊張」が指摘されています。
「ホットフラッシュ」の症状がある方は、夜中の「中途覚醒」や「早朝覚醒」などの睡眠障害が起こりやすくなります。
夜間頻尿や尿失禁への不安から眠りにつく時間が遅くなったり、眠りが浅くなる「熟眠障害」を起こすケースもあります。
女性に多い尿失禁~主な症状と治療(頻尿 原因を自分で調べて対策)
更年期世代の女性のなかには、睡眠不足に過敏に反応する方が少なくありません。
肌に吹出物が出来たり、化粧のりも悪くなったりで、イライラしがちになるのは当然です。しかし加齢に伴って睡眠時間が減ってくること自体は、ごく自然なことなのです。
不眠の理由を見定めないうちに、不安にかられて安易に寝酒や睡眠薬などで対応してはいけません。これらは習慣性を誘発しやすく、最終的に摂取量をコントロールできなくなる恐れが強いからです。
まずは「日中の眠気が起きず、生活に支障がないレベルの睡眠時間を確保すること」を、改善すべき第一目標にしましょう。
ライフスタイルは人それぞれですし、体質的な個人差もあるので、「7時間は眠らなければ」といった強迫観念にかられる必要はないのです。
環境が許すのならば、お昼時(午後2~3時頃まで)に10分程度の仮眠をとると、頭がスッキリして気分的にリフレッシュするので、おすすめです。
歳を重ねると自然に早起きになってきますが、とりわけ更年期世代の睡眠においては「起床リズムをできるだけ一定に保つこと」がポイントです。
毎朝できるだけ同じ時間帯に起き、一日の活動と休息のスケジュールを決めている「体内時計」に、起床のリズムを覚えさせるようにするのです。
夜は同じ時間帯に床に就くのが難しくとも、たとえ寝不足気味の「遅寝早起き」になっても、できるだけ同じ時間に起きて日の光(メラトニン)を浴びるようにします。日中の眠気は短い仮眠をとって解消し、つじつまを合わせましょう。
不眠や睡眠障害のなかには遺伝性のものもありますし、あるいは「睡眠時無呼吸症候群(Wikipedia)」のような病気の可能性があることも否定できませんが、その大半は「加齢」や「生活習慣の乱れ」から来るものです。
したがって更年期世代は、どうにもならない年齢は気にせずに、日々の生活習慣を正すことによって、不快な症状の緩和を図っていくほうが確実です。
ちなみに、家族から「睡眠中のいびきが強い」と指摘されるようになった更年期の女性は要注意です。更年期を過ぎた頃から、喉頭部の筋肉が弛緩して気道が狭まるために、いびきをかきやすくなります。
いびきは典型的な「睡眠時無呼吸症候群のサイン」であり、体内の酸素不足が臓器に長期的なダメージを与えるため、循環器関連の病気(高血圧・不整脈・心筋梗塞等)を招くリスクが高まります。
いびきは異常?(いびきと睡眠時無呼吸症候群[SAS])
不眠や睡眠障害の他にも症状(不定愁訴)が思い当たる場合は、まずは婦人科に相談し、生活の質を上げるための対策を練るのが最善でしょう。
(なお不眠については、 更年期の抑うつ~「更年期うつ」と「うつ病」との違いも、あわせてお読みください。)
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ひとつ前の記事は「更年期対策と生活習慣病との関係」です。
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