更年期の抑うつ~「更年期うつ」と「うつ病」との違い


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更年期障害の症状~高齢化がもたらした現代病でもご説明したように、更年期障害には非常に多くの「身体症状」と「精神症状」があるため、症状から更年期障害の診断をつけるのが難しいことが少なくありません。

とりわけ「更年期症状としてのうつ」と「うつ病」は、患者側としては何がどう違うのか、わかりにくいところです。


まず確認しておきたいのは、「うつ病」は「独立して存在する一つの疾患」であって、更年期障害の一症状である「抑うつ」や「うつ状態」(以下、『更年期うつ』と呼称。医学的に正式な呼称でないので注意)とは、必ずしも同じではないということです。

身体症状が似ていたり、あるいは重なったりしていても、病気としての「うつ病」と「更年期障害」はあくまでも別物と捉えられている、ということです。


たとえば同じ「不眠」の症状が出ていても、「更年期障害」と「うつ病」のいずれの診断がつくかによって、治療方針も異なってきます。

この場合、結果的に「睡眠薬の投与」という同じ治療内容にたどり着いても、そこに至るまでのプロセスと治療方針が異なっているわけですね。


もちろん別々の病気とは言っても、お互いに関係しあい、影響を及ぼし合っている面はあります。たとえば更年期障害によって不眠の症状が出はじめ、それが長期間続いた結果「うつ病」になってしまったといったケースです。

いずれにせよ『更年期うつ』は、精神科・心療内科の領域にある様々な病気と症状が重なりやすく、診断をつける医師としても判断の難しいケースが多いことは、知っておいてよいでしょう。


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一般的には「うつ」とひとくくりに語られる「うつ病」ですが、医学的には「気分障害」という病気の一つに属します。

気分障害の中でうつ状態だけが続くものが、「大うつ病性障害(大うつ病)」「気分変調性障害(気分変調症)」に分けられます。

厳密にはこのうちの「大うつ病」に、医学的な「うつ」の診断がつきます。一般的なうつ病のイメージもほぼ、この「大うつ病」になります。


これに対して「気分変調性障害(気分変調症)」は、比較的うつ症状が軽いものです。「抑うつ」も、この気分変調症のひとつです。

気分変調症は「大うつ病」に比べると軽症ではあるものの、症状が長く続きがちで経過もあまり良くないという、やっかいな問題を抱えています。

うつ病とは(みんなのメンタルヘルス 厚生労働省)

この「抑うつ」は不眠と同じく更年期障害の一症状としてあらわれることもありますが、更年期に限らずに発症する気分変調症の場合もあるわけです。


(ちなみに雑誌やTVで「介護うつ」「夫うつ」「職場うつ」などと、当人がおかれた状況別に分類して紹介しているケースをみかけますが、これらは一般向けのわかりやすさを重視した俗称に近いもので、医学的な分類ではありません。)


更年期うつ


更年期障害もそうですが、「うつ病」もその根本的な原因は、未だはっきり解明されていません。ストレスが誘引になって発症することもあれば、甲状腺機能障害や脳血管疾患・糖尿病などの具体的な病気に起因する場合、あるいは理由不明の場合もあります。


現状では、定められた診断基準(アメリカ精神医学会のDSMおよびWHOのICD)にもとづき、それに該当した場合に「うつ病」の診断をつけています。

このように「うつ病」の診断基準ははっきり定まっているため、医師の経験が浅かったり、病気の原因を厳密に特定できなくても、それに従うことで診断をつけられる点がメリットです。

逆に現状で診断基準が2つあることから、どちらに基づくかによって治療方法や予後も変わってくる点は、デメリットになります。


『更年期うつ』の診断においても、医療側は問診で原因を探りながら、抗うつ薬使用の有無を含め、最適な治療法を提示することになります。

問診血液検査・ホルモン検査によってエストロゲンの低下・欠乏度合いを測定し、更年期障害か否かが判断されます。

ちなみに問診では身体症状の有無について細かく尋ねられるので、自分なりに悩みや症状を整理してから受診するほうがよいでしょう。


中程度・重症の場合は「エストロゲン」の投与や「抗うつ薬」による薬物治療が中心になりますが、軽症の場合はホルモンの状態や症状の個人差に応じ、治療方針も異なってきます。

生活指導や睡眠教育・漢方薬の投与による一定期間の経過観察後に、治療方針が変更される場合もあります。


不眠が主な症状の場合、睡眠指導や睡眠薬の投与による治療で、しばらく様子を見ることもあります。

うつ病患者の8割以上に不眠が認められるといわれますが、『更年期うつ』においても、不眠の治療を行うだけで症状がかなり改善されることが少なくありません


これらの治療薬は単独で段階的に投与されますが、症状が重かったり改善が見られなかったりした場合は、たとえば抗うつ薬とホルモン補充療法(HRT)の併用など、組み合わせて投与される(増強療法)こともあります。


『更年期うつ』が疑われる場合、最初にどこの医療機関を受診するべきか、判断に迷うことが少なくありません。特に女性は、初診で精神科を避ける傾向が強いという調査結果もあります。

判断材料をまったく持たない場合は婦人科で問題ありませんが、身体症状よりも精神的・心理的変調を強く自覚している場合は、はじめから精神科や心療内科を訪れる方が良いでしょう。


なぜなら婦人科を受診しても、一定期間の治療後に医師が精神・神経面の専門的治療が必要と判断した場合は、適切な精神科の専門医が紹介されて治療が引き継がれることになるからです。そうなると結果的に、複数の医療機関を掛け持ちすることになります。


治療には健康保険が使えますが、精神疾患は一般に長い経過観察が必要なことや、再発防止のための服薬が必要なこと等により、治療が長期化する傾向にあります。

よって時間的・経済的負担の大きさも考えに入れて、判断したいところです。


次の記事は「更年期障害の治療~ホルモン補充療法とは」です。

ひとつ前の記事は「更年期症状としての関節痛~治療と注意点」です。


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