更年期障害の治療~ホルモン補充療法とは


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更年期障害の治療は、ホルモン補充療法を主軸とした投薬治療、および心理療法があります。


更年期の症状が「自律神経系」か「心因性」かによっても、治療の方向が分かれます。

自律神経に関わる場合は、エストロゲンを外部から補う「ホルモン補充療法(HRT)」や、漢方薬等の投薬治療が行われます。


ホルモン療法は、現状で更年期障害の最善の治療法として位置づけられ、欧米では日本よりも段違いに普及しています。

閉経後の骨粗しょう症・脂質異常症などの予防にも、更年期のホルモン療法は効果があるとされます。


基本的にはホルモンの減少が直接的な原因と考えられるなら、外部から直接ホルモンを補充すればよいのでは…という発想です。

ただし、更年期障害がホルモン補充療法だけで解決できるわけでもないですし、副作用のリスクもあります。

また、すべてのケースで薬物治療が必要なわけでもないので、その点は押さえておきたいところです。


ホルモン補充療法


ホルモンの補充方法には飲み薬・貼り薬・塗り薬があります。いずれも健康保険の適用があり薬価も3千円程度(除く初診料・混合治療)と、比較的少ない負担で済みます。

飲み薬は胃腸・肝臓への負担がかかるリスク、貼り薬・塗り薬は肌のかぶれを招くリスクがありますので、医師とも相談のうえで補充の方法を決めていくことになります。

ちなみに現在の飲み薬:貼り薬の比率は7:3程度と、飲み薬による治療が多くなっています


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ホルモン補充療法は、子宮の有無および閉経の前後でも、薬の投与の仕方が変わってきます(単独あるいは複数投与か・周期的あるいは連続投与か等)。

通常は卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモンが配合剤として一緒に用いられ、無子宮の女性には卵胞ホルモンのみ(エストロゲン単剤)が用いられます。


ホルモン補充療法は、乳がんや子宮体がんの患者・心疾患や脳血管疾患の方・強い不正出血がある方・妊娠中等の方には、行うことができません。

子宮筋腫・糖尿病・高血圧・甲状腺疾患の方に対しては、投与の方法や投与量を調整すれば行うことができます


ホルモン補充療法は大きな副作用こそ無いとされているものの、よく知られた副作用として、胸痛や腹痛・嘔吐・肝機能異常・浮腫・抑うつ症などがあります。

また発がん性についてはこれまでの研究調査で、ホルモン療法によって子宮がんの発生が上昇するといった影響は無く、また乳がんについては5年未満のホルモン補充療法によって危険性が上昇することは無い、と報告されています。


なお治療の開始当初は、補充するホルモンの種類や補充方法などで、副作用からくる本人への負担がもっとも少ない方法が見つかるまで多少時間がかかる傾向にあることを、頭に入れておく必要があります。

開始後すぐに効果がでる治療ではないため、副作用がキツめに出た時に治療を中断する方も少なくないようです。開始前には医師と充分に相談し、納得してから治療をスタートしたいものです。


更年期症状(障害)が「心因性」の場合は、ホルモン補充療法は必ずしも有効ではないとされており、カウンセリング(対話療法)を中心として、抗不安薬・抗うつ薬・漢方薬等の投与による治療が行われます。

うつ症状が強い場合は、「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」などの抗うつ薬が使われることもあります。


漢方薬については、 漢方薬による更年期障害の治療~メリットと保険適用でご説明します。


次の記事は「漢方薬による更年期障害の治療~メリットと保険適用」です。

ひとつ前の記事は「更年期の抑うつ~「更年期うつ」と「うつ病」との違い」です。


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