更年期障害の症状
更年期障害の症状~高齢化がもたらした現代病
閉経(月経の永久的な停止)の時期は40代後半~50代半ばと個人差が大きいものですが、日本人女性の高齢化を受け、閉経の平均年齢は高齢化してきています。
この17年間で閉経の平均年齢が1.7歳伸びたとする、研究結果もあります。
「更年期障害」は日本に特有の概念で、医学上の正式な定義もありませんが、いずれにせよこの閉経前後の5年程度の時期が、「更年期」と呼ばれています。
昭和の始め頃までは、平均寿命と閉経年齢が近かったので、そもそも更年期障害というものはなかったそうです。日本人の長寿化がもたらした更年期症状(障害)は、ある意味とても現代的な病気なのですね。
卵巣から分泌される、女性らしさを生む「エストロゲン」と、妊娠機能に関わる「プロゲステロン」という2つの卵巣ホルモンが、この更年期に急激に減少することによって、からだ全体のホルモンバランスが崩れていきます。
ホルモンのバランスをコントロールする「脳の視床下部」は、同時に自律神経の調整機能も担っているため、この影響によって自立神経のバランスも崩れてしまいます。
自立神経系のバランスが乱れることによって、日常の生活に支障が出るほどの重い症状が引き起こされることを、総体的に「更年期障害」と呼んでいます(ちなみに軽いものを引っくるめた全ての症状を、「更年期症状」と呼びます)。
更年期障害の原因~8割方はホルモンの低下・減少
更年期障害がやっかいなのは、卵巣機能の低下をもたらす原因が複合していることが多く、主因を特定しづらいことです。
卵巣ホルモンの低下・欠乏、言い換えれば「卵巣の老化」がきっかけであることは確かなのですが、これに起因する更年期障害の症状は全体の6~8割程度にとどまるとされます。
主な原因となる加齢以外に、日常生活上のストレスや栄養バランスの崩れ・仕事による慢性的な疲労の蓄積も見逃せません。
特に閉経や老後の不安・家庭内不和や配偶者との死別等、いわゆる精神的ストレスによって更年期症状に拍車がかかることもあります。
更年期障害の症状は老年期にかけ、ホルモンの安定によって自然と治まってくるのが一般的です。短ければ発症から1年程度、長くても3~5年程度で症状はだいぶ治まってくるはずです。
これまでの何十年もの人生で酷使してきた、あなたの体。更年期を意識する年齢ともなれば、体の節々がギシギシと傷んだり衰えを感じたりするのは、悲しいですがある程度仕方のないことなのです。
更年期の症状(1)~ホットフラッシュ
更年期障害の半数以上の方にみられる代表的症状のひとつがのぼせや発汗で、これらは「ホットフラッシュ」と呼ばれます。ホットフラッシュは、若年性更年期においてもよく見られる症状です。
特に理由も無いのに数分程度、顔面のほてりを伴った汗が吹き出る状態になります。時間が立つと症状が全身に広がっていく人もいます。
ただでさえ暑い夏場は体力的なつらさが倍増しますし、冬場は自分だけ異様に汗をかいて周囲から浮いてしまう状況が耐えがたいとして、最も不評をかっている更年期症状です。
ホットフラッシュは自立神経のバランスが崩れることにより、上半身の神経系が興奮制御しにくくなることから来る症状と考えられています。
更年期の乱高下しやすい血圧が、ホットフラッシュと深い関係にあるとする調査結果もあります。
女性ホルモン「エストロゲン」には血管の拡張作用がありますが、これが減少することで血管の弾力性が衰え、若い頃は低めで安定していた血圧が、更年期に入ると乱高下しやすくなります。
更年期の症状(2)~その他の不定愁訴
更年期の症状(1)~ホットフラッシュからの続きです。
更年期におけるホットフラッシュ以外の身体的症状としては、手足・腹部・腰回りの冷え・関節痛・筋肉痛・のどの渇き・乾燥肌・手足のしびれ等があります。
また神経症状にはめまい・息切れ・不眠・動悸、さらに精神的な症状として不眠・イライラ・抑うつ等があります。日本の女性の更年期症状は、一般に身体的なものよりも精神的なものが目立つ傾向にあります。
そのなかでも「自立神経失調」が主となるものの、症状の範囲が非常に広くとられており、さまざまな身体の変調が「不定愁訴」の一言でまとめられているのが現状です。
「世界的にも更年期障害の明確な診断基準は、まだ確立されていない」ことは、常識として知っておくとよいでしょう。
更年期症状としての関節痛~治療と注意点
更年期の女性に多い症状のひとつが、「関節痛」です。
日常生活に支障をきたすほどの痛みが、肩や手足のこわばりと共に数ヶ月も続いたり(慢性疼痛)、理由らしい理由も無いまま手指がしびれ出し、やがて神経痛が出てくる症例(手根管症候群)もあります。
手根管症候群 (日本整形外科学会)
ひと口に関節痛といっても、発生原因はさまざまです。
「更年期の不定愁訴」として診断がつくこともあれば、膠原病など他の病気の一症状の可能性もあります。また他の病気(乳がん等)の治療中に、治療薬の副作用で関節痛が現れることもあります。
関節は骨と骨の接触面において、体の「可動性」「支持」という2つの役割を担っています。
この関節に生じる痛みは、加齢や過負荷・ケガなどの様々な理由で体の組織が壊れて(筋繊維断裂・骨折等)起きる痛みと、神経の損傷による神経痛、そして心因性の痛み(心因痛)の、3つに大別されます。
最初の2つの痛みが起きる代表的な病気には、「骨粗鬆症」や「関節リウマチ」等があります。
更年期の抑うつ~「更年期うつ」と「うつ病」との違い
更年期障害の症状~高齢化がもたらした現代病でもご説明したように、更年期障害には非常に多くの「身体症状」と「精神症状」があるため、症状から更年期障害の診断をつけるのが難しいことが少なくありません。
とりわけ「更年期症状としてのうつ」と「うつ病」は、患者側としては何がどう違うのか、わかりにくいところです。
まず確認しておきたいのは、「うつ病」は「独立して存在する一つの疾患」であって、更年期障害の一症状である「抑うつ」や「うつ状態」(以下、『更年期うつ』と呼称。医学的に正式な呼称でないので注意)とは、必ずしも同じではないということです。
身体症状が似ていたり、あるいは重なったりしていても、病気としての「うつ病」と「更年期障害」はあくまでも別物と捉えられている、ということです。
たとえば同じ「不眠」の症状が出ていても、「更年期障害」と「うつ病」のいずれの診断がつくかによって、治療方針も異なってきます。
この場合、結果的に「睡眠薬の投与」という同じ治療内容にたどり着いても、そこに至るまでのプロセスと治療方針が異なっているわけですね。
もちろん別々の病気とは言っても、お互いに関係しあい、影響を及ぼし合っている面はあります。たとえば更年期障害によって不眠の症状が出はじめ、それが長期間続いた結果「うつ病」になってしまったといったケースです。
いずれにせよ『更年期うつ』は、精神科・心療内科の領域にある様々な病気と症状が重なりやすく、診断をつける医師としても判断の難しいケースが多いことは、知っておいてよいでしょう。
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