更年期障害 症状と対策～安心を得るために

更年期障害がやっかいなのは、卵巣機能の低下をもたらす原因が複合していることが多く、主因を特定しづらいことです。

卵巣ホルモンの低下・欠乏、言い換えれば「卵巣の老化」がきっかけであることは確かなのですが、これに起因する更年期障害の症状は全体の6～8割程度にとどまるとされます。


主な原因となる加齢以外に、日常生活上のストレスや栄養バランスの崩れ・仕事による慢性的な疲労の蓄積も見逃せません。

特に閉経や老後の不安・家庭内不和や配偶者との死別等、いわゆる精神的ストレスによって更年期症状に拍車がかかることもあります。

更年期障害の症状は老年期にかけ、ホルモンの安定によって自然と治まってくるのが一般的です。短ければ発症から1年程度、長くても3～5年程度で症状はだいぶ治まってくるはずです。


これまでの何十年もの人生で酷使してきた、あなたの体。更年期を意識する年齢ともなれば、体の節々がギシギシと傷んだり衰えを感じたりするのは、悲しいですがある程度仕方のないことなのです。

ただし問題は、そういった更年期に見られがちな症状の程度です。時々気になるくらいで済んでいるのか、あるいは病院に行くかを思い悩む程度に重い症状なのか。


見極めが難しいところですが、まず以下のような更年期症状のチェックシートを使って、自分で確かめてみましょう。

その上で気になるようであれば、早めに病院で一度診察を受けてみるべきです。たとえ更年期障害でなくても、検査で思いがけず他の病気が見つかる可能性もあるからです。

更年期症状チェック（全薬工業株式会社）


さて、日本の女性の平均寿命は86.3歳、健康寿命は73.62歳。そして男性の平均寿命は79.55歳、健康寿命は70.42歳（平成22年現在）です。


「女性は閉経後、すなわち女性ホルモンの無い人生が、25～30年程度とかなり長くなっている」事実は、盲点となって見過ごされがちです。

社会問題にもなっている認知症や骨粗鬆症の罹患は、卵巣ホルモンのエストロゲンの減少も影響しているとみられています。


更年期を過ぎた段階で、すでに身体と精神にガタが来ているようでは、人生の後半に控える長期戦にとても立ち向かえません。

逆から言えば、更年期の日々の生活習慣を適切に改善できたなら、閉経後の健康寿命を伸ばし、10年ほどある平均寿命との差を縮められる可能性も高まります。


更年期のただ中にあってその症状に苦しんでいる方も、あるいは若年性更年期障害の影を感じている方も、先々に引きずるようなダメージが身体に残らぬように、正しい知識にもとづいて日々の生活を見直したいものですね。