更年期の生活習慣
更年期対策と生活習慣病との関係
男性ホルモンの「テストステロン」、そして女性ホルモンの「エストロゲン」で誤解されやすい点ですが、これらの性ホルモンは、それぞれの性別に限って分泌されているわけではありません。
つまり男性も「エストロゲン」を分泌しますし、女性も「テストステロン」を分泌しています。
ただしそれぞれのホルモンの分泌量が男女で大きく異なっているため、そこからいわゆる「男らしさ」「女らしさ」が形づくられているのです。
しかしどちらの性ホルモンも加齢に伴い分泌量が減っていくことで、さまざまな更年期症状が引き起こされる点で共通しています。
更年期症状(障害)で注意すべきは、男女とも年齢を重ねるにつれ、脳疾患・心疾患などの重大な生活習慣病と、ほぼ同タイミングで発症する可能性が高いことです。
たとえば女性の心筋梗塞は一般に男性より発症率が低いのですが、更年期を過ぎる頃から増加する傾向にあります。
生活習慣病の根本的な原因とされる動脈硬化は、更年期から徐々に始まっているのが普通です。
病気の特定が適切に行われなければ、生死に関わりかねない重大な疾患の発見・治療が遅れるリスクが高まることになります。
動脈硬化を学ぶ~その概要・予防・食事
動脈硬化の危険因子を少しでも減らすべく、食事や運動・睡眠等の休息に関わる生活習慣病対策を日々の生活全般に取り入れていくことは、更年期対策にも直結するのです。
更年期の不眠・睡眠障害対策~睡眠時間にこだわらない
睡眠をとらない生き物は存在しない、と言われます。
そもそも「眠ること」の役割は、何でしょうか?実は確定的な結論は、いまだに出ていません。
現在、「免疫機能の維持」「身体の成長・修復」「体温・体重など恒常性に関わるメカニズムの維持」「記憶の整理・定着」などは、すべて睡眠によってもたらされると見られています。
さて、更年期の代表的な悩みのひとつが「慢性的な不眠」です。
とりわけ女性は男性に比べると年代を問わず不眠傾向が強く、女性ホルモン(黄体ホルモン)の減少等の影響で、睡眠の質も悪くなりがちです。
ただし「不眠」と「睡眠不足」は医学的に別の概念であり、区別して考える必要があります。
共働き世帯が増える中で、職場の対人関係等からくるストレスにさらされたり、職場と家庭(育児・介護)の両立に困難を感じる機会が増えるといった「生活環境の変化」も、不眠を招く一因と見られています。
特に更年期を境に、高血圧の症状を訴える女性は少なくありません。急に血圧が上昇しやすくなったり、血圧の数値が乱高下する方もいます。
その一因として、睡眠不足から来る「交感神経の緊張」が指摘されています。
「ホットフラッシュ」の症状がある方は、夜中の「中途覚醒」や「早朝覚醒」などの睡眠障害が起こりやすくなります。
夜間頻尿や尿失禁への不安から眠りにつく時間が遅くなったり、眠りが浅くなる「熟眠障害」を起こすケースもあります。
女性に多い尿失禁~主な症状と治療(頻尿 原因を自分で調べて対策)
更年期世代の女性のなかには、睡眠不足に過敏に反応する方が少なくありません。
肌に吹出物が出来たり、化粧のりも悪くなったりで、イライラしがちになるのは当然です。しかし加齢に伴って睡眠時間が減ってくること自体は、ごく自然なことなのです。
不眠の理由を見定めないうちに、不安にかられて安易に寝酒や睡眠薬などで対応してはいけません。これらは習慣性を誘発しやすく、最終的に摂取量をコントロールできなくなる恐れが強いからです。
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